ギーターに書かれていることは本当に起こる!
パンディット(ヴェーダ聖典の学者)であるマドゥスーダン・サラスワティーはバガヴァッド・ギーターの解釈に定評のある人でした。
彼が、サンスクリット原典のギーター第9章・第22節を読んでいた時、「神さまは信者の為に持ってきてくれる」と書かれてあるところに眼を向けて、こう思いました。
「でも、神さまが信者の為に持ってきてくれるというのは、これはいくらなんでもないだろう。このヴァハーミーアハム(私は持ってくる)は間違いで、ダダーミーアハム(私が与える)が正しいだろう。」と言って、その部分「ヴァハーミーアハム(私は持ってくる)」に線を引きました。
その後、パンディットが外出して家にいない時に、二人の可愛らしい男の子が、お米やダール(豆)など、必要な食料品を運んできてくれたのでした。パンディットの妻は、誰がどうして、こんなに食料品を送ってくれたのか不思議に思って尋ねると、男の子たちは、
「これはね、パンディット様の信者の人から、ここに届けるように言われたから持ってきたんだよ。」と言いました。
その男の子たちが荷物を置いて帰って行こうとした時、妻は二人の背中に大きな切り傷があるのを見つけました。そして痛々しそうな傷を指して、誰がそんなことをしたのかと尋ねました。
すると男の子たちは、「これはパンディット様から受けた傷だよ。」と言いました。そして、「パンディット様が帰ってきたら、聞いてみて……」と言って帰って行きました。
パンディットが帰ってきて、家に食料品があるので、どうしたのかと尋ねると、妻は今日起こった不思議な出来事について話しました。
そして、二人の可愛らしい男の子の背中の傷のことをパンディットに尋ねると、パンディットには思い当たることがあって、その二人は、実はクリシュナとバララーム(クリシュナの兄)であると直感的に気付きました。
そして、自分が線を引いたギーターのあの聖句は、ほんとうに本当だったのだということを悟り、涙を流してクリシュナ神に謝ったということです。
この話は実際にあった話として、インドのパンディットの間では広く知られており、代々語り継がれているそうです。