​マルワリの信者の供え物を食べて腹を下したヨーギン

 ある日、マルワリの信者が、パラマハンサ(大覚者)に上等な甘いお菓子を持ってきて献上した。それを見て、ヨーギン(スワミ・ヨーガーナンダ)が言った。

 ヨーギン「先生、わたしにも分けてくださいよ。食べてもいいでしょう?」

 パラマハンサ「これは願掛けの詰まったものだ。食べるんじゃないよ、お腹を下すに決まってるから――。これを消化できるのはナレンだけだよ。」

 ヨーギン「いいや大丈夫、私たちだって食べられますよ。クシャトリヤのナレンに消化出来るんだったら、バラモンであるシャボルノ・チョウドリー一族の私たちに消化できないはずがないでしょう!」

 数日後、ヨーギンの父、チョウドリー氏がカーリー寺院の庭でレモンを採っていた。ヨーギンの家はカーリー寺院の近くにあった。

 パラマハンサが、「ここ2、3日、ヨーギンの顔を見かけないが、どうしているかい?」とおたずねになると、

 チョウドリー氏は「いやね、彼がお腹を下したので、レモンを採っているんですよ。」と応えた。

 後日、ヨーギンが来た時にパラマハンサはおっしゃった。

「ほら、みただろう!」

 マルワリが願掛けされた物は、パラマハンサご自身も口にされなかった。そしてナレンドラ以外には誰も、それを与えられなかった。

 パラマハンサはこうおっしゃっていた。

「ナレンは消化できるんだ。ナレンの中には炎が燃えていて、バナナの木を与えたって、炎で灰になってしまうほどだから――。」

 

「シュリー・シュリー・ラーマクリシュナ・アヌディアーン」(ベンガル語)

 ‘Sri Sri Ramkrishner Anudhyan’ published in 1943 

(『大聖ラーマクリシュナについての熟考』)より翻訳

これはマヘンドラ・ナート・ダッタ(スワミ・ヴィヴェーカーナンダの弟)が

ラーマクリシュナに関する思い出をベンガル語で綴った本

マルワリ

 マールワール地方(インド北西部・現ラージャスターン州中西部)出身の商人を総称してマルワリと呼ぶ。マルワリはベンガル地域で商売の基礎を固め、全インドの商業、金融業を押さえ、多くの財閥が誕生し、インド最大の財閥もマルワリである。マルワリ同士の結束が強く、固く結びついた社会集団を形成し、マルワリ同士では信用を裏切ることはなく、相互扶助がしっかりしている。

「南アジアを知る事典/平凡社」より抜粋