ラーマクリシュナとアヒンサー(不殺生)について
ラーマクリシュナがアヒンサー(不殺生)に関して、どのような考えを持っていたかを知る記述を見つけましたのでご紹介します。
一つはバララーム・ボースへの教えで、もう一つはヨーギンへの教えです。
この二つをみると、ラーマクリシュナは完璧な不殺生を勧めていたわけではないことが分かります。
「バララーム・ボース」への教え
バララームは他のヴィシュヌ派の信者と同様に、アヒンサー(非暴力)を厳密に信奉していました。彼は、たとえ瞑想を邪魔する蚊でさえも殺すのは間違っていると考えていました。しかし、ここ数年、聖ラーマクリシュナの許に通うようになってからは、人生で最も重要なことは神を心に留めておくことだと気づきました。なので、しっかりと安定した瞑想のためなら、数匹の蚊を殺すことは罪とは見なされないと思うようになりました。しかし、彼は正統的なヴィシュヌ派の家系に生まれたために、自分の考えが正しいかどうか分からず、はっきりと答えが出せないで思い悩んでいました。彼は師の前にこの問題を投げかけてみようと思い、すぐにドッキネーショルに向かいました。
バララームが聖ラーマクリシュナの部屋に着くと、なんと師はトコジラミをつぶすのにとても忙しそうにしていたのです。それを見て彼はとても驚きました。バララームが師に近づいてお辞儀(プラナーム)をすると、師は言いました。
「枕にたくさんのトコジラミがくっついているんだ。奴らは昼も夜も私を噛むもんだから、イライラして眠れないんだよ。だから、こいつらをつぶしているんだよ」
これによって、バララームの疑問は師によって回答が与えられたのでした。
(出典)They Lived With God (Balaram Basu) / Swami Chetanananda
「ヨーギン」への教え
ヨーギンはとても優しい性格の持主だったので、虫を殺すことはもちろん、傷つけることさえ出来ませんでした。しかし、優しさもあまりに度が過ぎると、長所ではなく障害の原因になることがあります。聖ラーマクリシュナは、ヨーギンの性格のこの過度な優しさに問題があることに気付いて、これを直そうと考えました。
ある時、師はそばに置いていた服の中にゴキブリがいることに気付いたので、ヨーギンにその服を部屋の外に持っていってゴキブリを殺すように頼みました。 ヨーギンは服を持って部屋の外に出ました。 しかし彼は、虫を殺すには優しすぎたので、師がこの件を追及しないことを祈って、ゴキブリを逃がしてやりました。ところが不思議なことに、師はヨーギンがゴキブリをちゃんと殺したのかどうか尋ねたのです。 その答えが『ノー』だったので、聖ラーマクリシュナは、自分の言葉を忠実に従わなかったことについて、彼を優しくたしなめました。
(出典)ベルール・マトのスワミ・ヨーガナンダのHPより(以下のアドレス)
https://belurmath.org/holy-lives/swami-yogananda/#withsriramakrishna