『コタムリト』ベンガル語原典で* * *と印字されている箇所がある。 それは?
マヘンドラ・グプタがタクールの許で泊まり込み修行をしていた「1883年12月14日(金)」のコタムリトのベンガル語原典の中で、タクールの言葉の後に * * * と印字されている箇所がある。ベンガル語原典をすべて確認したところ、ほかにも * * * と印字された箇所が5ヶ所確認できた。また ……… と印字された箇所も4ヶ所、存在することが確認できた。
これらは、一般の人には公言してはならないとタクールから言われたか、もしくはマヘンドラ・グプタがそう判断した秘密の内容と思われる。また、マヘンドラ・グプタへの個人的な教えであるため公開しなかった内容のようである。
このことは、マヘンドラ・グプタの直筆の日記を読むことが許された熱心な「コタムリト」の研究者が「コタムリト」と「日記」を照らし合わせて読んで導いた結論である。前後の文章から考えても、それが正しいと思われる。
それなら最初から何も記述しなければよいと思うが、なぜ、あえて * * * や ……… として記載したかは、研究者も明言していない。将来、熱心な信者がそれを見て、その内容を想像する楽しみを残しておいてくれたのかも知れない。
* * * の記述5ヶ所のうち、3ヶ所が1883年12月から翌年1月にかけての泊まり込み修行の期間であった。
以下、マヘンドラ・グプタがタクールの許で泊まり込み修行をしていた期間の * * * について見てみよう。
「1883年12月14日(金)」
(ベンガル語原典第2巻・第12章収録)
パラシュラーマの讃(たた)えの言葉を聞きながら、タクールは前三昧になられた!
時々、「ラーマ、ラーマ」とやさしい声でつぶやいていらっしゃる。* * *
聖ラーマクリシュナ「(ラームラルに向かって)ちょっと、賤民グハカの話のところを読んでみろ!」
「1883年12月24日(月)」
(ベンガル語原典第4巻・第8章収録)
「わたしの骨肉(みうち)は小言を言われてもまたやってくる。
アハー、ナレンドラのあの性格! 以前(まえ)に大実母(マー)カーリーのことを好き勝手に言うから、わたしはある日イラついて、こう言った ―― 『ナラズ者め、もう二度とここへ来るな』そうしたら彼はゆっくり部屋から出て行ってタバコを吸い始めた。骨肉(みうち)のものは叱られても腹を立てないよ。どう思う?」
モニ「はい。おっしゃる通りです」
聖ラーマクリシュナ「ナレンドラは生まれながらの完成者だよ。無形の神を固く信じているんだ」
モニ「ははははは。来ると必ず何か事件がおこりますね」
タクールは嬉しそうに笑ってこうおっしゃる ――
「全くその通り、事件がおこるよ」
* * * *
「1884年1月5日(土)」
(ベンガル語原典第4巻・第9章収録)
「マー、信念が要(い)るね。分別(ヴィチャール)なんか消えてなくなれ。牛の小便みたいな考え(ヴィチャール)は七回たれるところ、一回(の信念)だけにしとけ。信念が要る ―― 師(グル)の言葉に対する信念が。子供のような信じ方だ! あそこにオバケがいると母さんが言ったら、ほんとにオバケがいると信じこむ! あそこには鬼が住んでると母さんが言えば、そのまま信じこむ! あの人はお前の兄さんだよと言われれば、百二十五パーセント、兄さんだと思っている! この信念がほしい!
けれども、マー! あの連中が間違っているとも言えないよ! だって、他にどうすりゃいいのさ! 分別推量(ヴィチャール)も、一度は通らなけりゃならないからね! ―― ほら、あの日、どんなに言ってきかせたか、見ていなかったかい。何にもならなかったけど ―― 今日は、完全に ―― * * * * 」